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zoom RSS 蜜蜂と遠雷/恩田 陸

<<   作成日時 : 2017/01/28 14:28   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 45 / トラックバック 0 / コメント 19

serial 360

昨年の暮れから、手元にありながら読み終えてなかった本。

日本の中堅都市で開催される、ピアノコンクールを想定した物語。

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直木賞受賞とのテレビニュースの報があって、ギアチェンジした。

つたない文章ですが、自分なりの感想を綴ってみます。


********************************

15歳の高校生、天然系の 風間 塵 というコンテスタントが耳目を刺激する。
養蜂家の息子である彼は、いつ、どこで、どんな練習をしていたのか・・・。
どうやってこの場に歩を進めてきたのか? 興味深い存在。

15歳の少年とは思えない、繊細かつ大胆でスケールの大きいピアノを弾く。
それは、音楽を自然と融合せんとする彼の生活スタイルからなのか?

推薦者の故ホフマン先生をしてこう言わしめる。
『彼は恩寵などではない、劇薬なのだ』
『それをギフトとするか厄介とするかは、聴く側のみなさん次第だ』

やや少女コミック風な趣向はいささか現実離れした感があるものの・・・
それはそれで、物語を彩る素材の登場として楽しめる。



一次予選から二次、三次、本選へと勝ち進んだ 栄伝 亜夜
抽選により、演奏順がことごとく各次ステージの最終奏者となった彼女。

緊張が長びく不利さはあるにせよ、前奏者の演奏が聴けることも確か。
それを含み益のように、自分の演奏に加味すべくプラス思考もしていた。

10代のころ天才ピアニストとして騒がれていたが、母の死とともに
突然演奏会をドタキャンし、その後は表舞台から遠ざかっていた。
その意味で、どんな演奏をするのかと観客から興味が持たれる話題の人。

まるで天才少女の復活劇とばかり、ワイドショーの題材のように・・・。

演奏テクニックはもちろん、天才肌の音楽感性やその異彩さは失っておらず、
同じコンテスタントの風間 塵から、おねえさんと呼ばれ慕われる。

互いに同胞然と認めあい、一種の似た者同志の親しみを抱くようになる。



アメリカの名門ジュリアード音楽院からも凄いコンテスタントが来ている。
長身で甘いマス、女子に持てそうな マサル・カルロス・レヴィ・アナトール
今回の審査員を務めるナサニエル教授の教え子でもある。

彼は小さい頃、ほんの数年だけど日本に住んでいたことがある。
その時、栄伝 亜夜にピアノ教室に連れていってもらったことがある仲だった。

二人は小さいながらに互いの音楽感性やピアノの力量を認めあい、
マサルが日本を離れるとき 『本格的にピアノを習ってね』 と・・・。
彼の将来を思って亜夜が言ったのだった。

奇しくも、今回のコンテストではライバル同士となるのだが・・・
互いを認め合い、尊敬しあう感情と態度は昔と変わっていない。



異色なのが 高島明石 という楽器店に勤務する社会人。
規約の年齢制限ぎりぎり28歳で、さして使命感は強くなかった・・・のだが。
昔、栄伝 亜夜のファンであり自分も音楽家を目指していた時期があった。

今回のコンテストに出ることは、新たな自分探しにもなるかも知れない。
いや・・・途中から、そう(音楽家)なりたいと強く思うように変化していった。

柔軟な人間性の彼のピアノは、優しく柔らかな音がその持ち味。

高校の同級生、仁科雅美が彼と一緒にコンテストに臨む。
彼を、テレビのドキュメンタリー番組にすべく取材したいという。
取材を通して、リラックスさせたり励ましたり・・・。


100人近いコンテスタントが、一次予選で24人に絞られ
二次では12人に、そして三次から6人の本選へと・・・。

そんな模様の、主にこの4人にスポットを当てながら物語は推移する。

********************************


以上の記述は、感想文と言うよりストーリーをかいつまんだ抄録に近い。
記憶と記録に留め置きたくてそう書いたが、ここからが本当の感想。


専門的であったり独特な感情表現に驚嘆するが、とにかく読みやすいです。
確か村上春樹さんだったと思うけど、どこかで読んだ文の一部を思い出した。

文章には音楽と共通するところがある。
リズムでありメロディーであり、そして、和音が彩るところなど。
それがない文章は読みづらい。

確かにこの本を読んでいて思ったのは、つっかえるところがない。
目から耳を伝い頭へと、文章が情景描写の絵画のように広がっていく。


読書感想文たるもの、簡潔にして短きを旨とすべし。

そう思いながらも、感動の余波がついつい書き足すようにと打ち寄せてくる。

この小説の主人公は誰なんだろう?

出場するコンテスタントの、主にスポットを浴びせた4人の内の誰かなのか?
タイトルからすると風間 塵かとも思えるが、そうとばかりは言えない気もする。

例えば審査員の中にも流れを主導する存在感の大きい人が何人かいる。
特に、ホフマン先生の言う「ギフト風間 塵」に最初は戸惑っていた嵯峨三枝子。

それとも・・・登場する全員が主人公なのか?
はたまた、読む側の読者にそれを託しているのか? とも思えたり。


物語終盤の何ページかで、不覚にも涙をさそう文章に涙腺が悲鳴をあげる。
いや、不覚などと照れ隠しな言い方の必要はない。

音楽と人間の感性との結びつきや絆、その掘り下げや成長と喜び。
様々なシチュエーションの洞察力と、音楽解釈における造詣の深さ。
読み手も含めて、各人それぞれが味わうスリルと充実感や達成感など。

素直に感動した証しそのものなのだから・・・。


長文を読み終えた自分に、お疲れモードのその目に、ご褒美です。
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みんなガンバレ〜! と、言いたくなるような臨場感があります。
とにかく面白いです・・・お薦めですね〜。

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コメント(19件)

内 容 ニックネーム/日時
私も受賞作品のあらすじを新聞で
読んだときliuringさんのことが
思い浮かびました。
浜松のピアノコンクール(中村紘子さん主催の)が
モデルだそうですね。

専門用語もあまり難しく書かれていなくてスーと
入っていける作品だそうですね。
主人が芥川賞と直木賞が載った文芸誌は買うので
楽しみにしています。

今日のスイーツも美味しそう。

わたくし、インフルエンザに罹患しまして
自宅謹慎中(笑)
予防接種してあるせいか、喉は痛いですが熱も出ず、普通の生活ができるのが幸いです。
れに
2017/01/28 17:43
初めまして!♪
私も恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」、近くの本屋さんには無くて、ネットから注文しました。まだ届いていませんけど。
少しだけ音楽をかじっていますので興味津々です。
浜松国際コンクールの舞台を題材にした書のようですね。
著者の恩田陸さん、音楽にはかなり長けてらっしゃるようですね。
そうじゃないと、これだけの長文小説は書けませんものね。
liuringさんの感想も読ませていただき、ありがとうございました。
ハーモニー
2017/01/28 20:25
 れにさん

>浜松のピアノコンクールのネット動画を保管していますが、この作品はそれが題材なんだとすぐに思いました。
中村紘子さん残念ながら昨年亡くなりましたね。

仰るように専門用語はあまり出てきませんが、曲の理解度はハンパなく優れています。
なので、読んでいて知る人ぞ知る・・・みんなの凄さをうかがい知ることが出来ます。
ご主人も読書がお好きなんですね。
本が手に入るとのこと、読んでみてください。

おまけのスイーツは目が可愛かったので。
目薬は差しませんでしたよ〜。(笑
liuring
2017/01/28 20:29
 サヤ侍さん
 achisiさん

気持ち玉ありがとうございます。
liuring
2017/01/28 20:31
 ハーモニー さん

初めまして・・・ってか、時々ハーモニーさんのブログにもお邪魔していま〜す。
恩田さんの作品は初めて読んだのですが、仰るように音楽の知識・造詣が深いですね。
読んでいて、これだけの曲数の内容をこれほどに書けるとは、と驚きでした。

ハーモニーさんも本が届くのをお待ち・・・
だとしたら、なまじこの感想文を事前情報として読まない方が良かったかもね。
とにかく面白いですが、知らないこととして読んでみてください。
liuring
2017/01/28 20:47
うわー、苦手な読書。
読み出すと止まらないですが、最近は「羊と鋼の森」‥‥から読んでなかったです。
書評、難しいですね。伝えたいけどうまく伝えられなくて。良い作品なんですね、伝わってきました。
古典的な小説が好きなわたぴ。新しいものも読まなくちゃって思いました。
山本有三の素朴な小説が好きです。古い人間でござんす(笑)

いちごのケーキ、お目目がひょうきん!
いつも思うけど、こういうクギヅケしちゃうの見つけるの上手ですね(^-^)V
とわ
2017/01/29 21:24
 とわさん

読書が苦手だなんてご謙遜かと思いますが、仰るように感想文って難しいですね。
書きすぎるとネタバレ注意が必要だし、書かなければ趣意や中身が伝わらない。
この小説は文章が(平易とは<言いませんが)読みやすくドンドンすすみます。
新たに出会った文面も新鮮で面白いです。

ケーキはイチゴで創られた目が可愛いので、お疲れモードの自分にと。(笑
たまたまケーキ屋さんで見つけたのでした。
小さいのにインパクトがありました。
liuring
2017/01/30 09:20
 fugen383さん

気持ち玉ありがとうございます。
liuring
2017/01/30 09:21
 ふっこさん
 もも先生さん

気持ち玉ありがとうございます。
liuring
2017/02/01 13:21
不得手なジャンルですが氣玉「なるほど」10個進呈
当地FreeMagazine「金沢情報」2/1号の読みたい〜
ブックコーナーで「蜜蜂と遠雷」を紹介が有った
国際ピアノコンクールを舞台に其々の音楽に対する葛藤と愛情が交錯する…
本は読まないが昨日は県立音楽堂で指揮 ロッセン・ゲルゴフ 管弦楽 オーケストラ・アンサンブル金沢演奏曲目 ベートーヴェン交響曲 第6番「田園」交響曲 第5番「運命」第2楽章 交響曲 第4番 第3楽章 交響曲 第7番 第4楽章 等を拝聴して来ました
クロダイヤ
2017/02/01 14:33
 クロダイヤさん

沢山の気玉ありがとうございます。
ブックコーナーの紹介文にあった通り、コンクールに臨む人たちの様子を綴っています。
この作家さんなかなかの音楽知識で、それを文章化する技量にも驚きでした。

オーケストラ・アンサンブル金沢のベートーヴェン交響曲全集(抜粋)を聴きましたか。
良かったでしょう〜! 
このオケ・・・今は亡き岩城宏之さんの功績は大きいですね。
liuring
2017/02/01 15:13
 マゼのアユさん

気持ち玉ありがとうございます。
liuring
2017/02/01 16:01
 ゆらり人さん

気持ち玉ありがとうございます。
liuring
2017/02/02 13:25
読書と音楽、どちらも知的なイメージ。。。さすがです!liuringさんらしいインテリジェンスを感じるチョイス。私は本当に読書が苦手で、目が痛くなって眠くなるんですよ〜。もっと勉強しないといけねいですね〜。
それよりも、やっぱり最後のイチゴちゃん!とっても可愛くて美味しそう!ふっと香りが漂ったような気がしました♪
りっひー
2017/02/05 20:58
 りっひーさん

私も読書はあまり多くはないですが、好きな分野の題材なので興味深く読みました。
内容としては本文の通り、色んな人たちの心情が描かれていて面白かったです。

しかし目が疲れる・・・私も同様で、イチゴの左側に写る目薬が物語っています。(笑
イチゴの目の作り方が気に入り、少しためらいもありましたが美味しかったです。
liuring
2017/02/06 08:43
本は心がその本に入り込んでいけるのが一番ですね。liuringさんは一度読んだ本、何回も読むことがありますか!
先日本の大好きな姉が「アハハと読む本は読んだら捨てるけど心に残った本はまた読む」と言う話をしていました。
あまり本を読まない私にはそんなことはないのですが・・

イチゴもこんなふうに置くと可愛いですね。アイデア頂きですね。

2017/02/11 08:44
 泰 さん

本を読んでいていつも感心することがあります。
それは、読み手を飽きさせない文章の連続。
仮にそれを書けと言われても、とてもじゃないけどそんな文章力も持続性もないですね。
逆に読みにくい文章(誰とは書きにくいけど)の本は、途中で止めてしまいます。

気に入った本を読み返すことはありますよ、あそこはどんな展開だったか?あの言葉や感情は何だったか?など。
ケーキを食べながらだと・・・
そんなこと、すぐに忘れるんです。(笑
liuring
2017/02/11 11:38
 亜子さん

気持ち玉ありがとうございます。
liuring
2017/02/14 17:38
 まりまりさん

気持ち玉ありがとうございます。
liuring
2017/03/02 08:36

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